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キューバ危機


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キューバ危機 [2020/11/16 00:41] moepapaキューバ危機 [2021/05/09 23:28] (現在) – 外部編集 127.0.0.1
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 このことをジャクリーン夫人に伝えようとした時に、逆に大統領夫人は『核シェルターに入らなければならない時、私がどうするか、知らせておくわ』として『もし事態が変化したら、私はキャロラインとジョンJRの手をつなぎ、ホワイトハウスの南庭に行きます。そして勇敢な兵士のようにそこに立ち、全てのアメリカ人と同じく運命に立ち向かいます。』と語った。クリント・ヒルは『そうならないように神に祈りましょう。』と答えるだけであった。 このことをジャクリーン夫人に伝えようとした時に、逆に大統領夫人は『核シェルターに入らなければならない時、私がどうするか、知らせておくわ』として『もし事態が変化したら、私はキャロラインとジョンJRの手をつなぎ、ホワイトハウスの南庭に行きます。そして勇敢な兵士のようにそこに立ち、全てのアメリカ人と同じく運命に立ち向かいます。』と語った。クリント・ヒルは『そうならないように神に祈りましょう。』と答えるだけであった。
  
 +==== 10月18日(木) ====
  
 +この日にソ連問題担当顧問で、後に駐ソ大使となったリュウェリン・トンプソンが出席して、フルシチョフは何らかの取引を目的にミサイルを配備し、それはベルリン問題で何らかのアメリカの譲歩を引き出すためではないか、と考えてフルシチョフに交渉の機会を与えることが大事だと主張した。いきなり軍事行動では報復を呼ぶだけであり、その後は予測も制御もできないとして、海上封鎖であればソ連は封鎖を突破しないと考えるがミサイル基地の作業の中止および撤去は難しいとの懸念を示した。
  
 +前日空爆反対を唱えたスティーブンソン国連大使はこの日ニューヨークに戻る前に大統領に文書を送り、キューバへの攻撃はソ連がトルコやベルリンに報復行動に出る可能性が高く、結果として核戦争になると強調した。
  
 +この段階で封鎖と空爆の2つの選択肢が残っていたが、実際は二者択一ではなく、海上封鎖から空爆へという考えと、どちらにせよ最後はキューバ侵攻へという考えで、このエクスコム会議に出席していたメンバーの大半は最後は侵攻する必要があることを理解していた。
  
 +そして海上封鎖の場合に、フルシチョフが撤去に応じる代わりに要求してくる要素をさまざまに検討して、トルコのミサイルが浮上してきた。また海上封鎖が厳密には戦争行為であるので、戦争に突入することなく海上封鎖を法的に正当化するためにどうするか、この問題ではラスク国務長官とマーチン国務次官補が1947年に締結したリオ条約(米州相互援助条約)に基づき米州機構(OAS)の承認を得ることを提案し、また18日夜にミーカー国務省法律副顧問が「海上封鎖」を「隔離」と言い換える提案が出された。
  
 +ここまで強硬に空爆を主張してきた軍も最初は封鎖して、フルシチョフの出方によっては空爆か軍事侵攻も視野に入れることでその主張を後退させた。そして封鎖の場合に撤去させるのは攻撃用ミサイルだけとすることで、この日にはケネディは海上封鎖の選択に傾いた。
 +
 +こうしたホワイトハウス内の極秘の動きの中で、この日午後5時にソ連外相アンドレイ・グロムイコがホワイトハウスを訪ねてきた。これはそれ以前から予定していたもので国連総会のために訪米し儀礼的な訪問であった。ケネディはこの場では攻撃用核ミサイルを発見したことを一切語らずに、またグロムイコ外相はソ連の対キューバ援助は「キューバの国防能力に寄与する目的を追及したもの」として「防衛兵器の扱いについてソ連専門家がキューバ人を訓練しているのは決して攻撃的ではない」ことで「もしそうでなかったらソ連政府は決してこうした援助を与えないであろう」と述べて、「キューバに配備されたミサイルは防御用の通常兵器である」と9月に述べたことを繰り返し述べた。このホワイトハウスの大統領執務室での会談は、その後冷戦史上に残る最も奇妙で緊張した会談であり、茶番劇でもあった。グロムイコ外相は会談後にモスクワにワシントンの状況は満足のいくものであった、と報告している。ケネディが何かをつかんでいるとは微塵も感じなかったのである。そしてケネディは4日後の声明で、この日のグロムイコ外相とのやりとりを明らかにして、「偽りであった」と非難した。
 +
 +グロムイコ外相との会談終了後、ケネディは同じホワイトハウスの会議室に戻った。そしてこの日の夜に急速に海上封鎖が有力な案になった。また国務・国防・司法の各省はその法律専門家に封鎖宣言の根拠について検討作業を始めさせた。


キューバ危機.1605454870.txt.gz · 最終更新: 2021/05/09 23:28 (外部編集)

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